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災害時にマウスウォッシュは役立つ?

本日9/1は「防災の日」ですね。

日本は地震や台風、大雨など、さまざまな自然災害が起こる国です。

今年も7月には熊本県で最大震度7を観測する地震が発生し、災害への備えについて改めて考える機会となりました。

防災というと、水や食料、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。

でも、「お口のケア」について考えたことはありますか?

災害が起こると、断水などによって普段通りの歯みがきができなくなることがあります。

「災害に備えて、マウスウォッシュを防災バッグに入れておいたほうがいい?」

「水が使えないとき、マウスウォッシュだけでも大丈夫?」

「普段使っている洗口液を、防災用品として備えておく意味はある?」

防災用品を考えるとき、こんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

特に避難生活が長引いた場合には、お口の中を清潔に保つことが難しくなるため、普段とは違った口腔ケアが必要になることもあります。

実際に、災害時の口腔ケアと洗口剤について調べた研究があります。

今回は、2019年に「日本口腔保健学雑誌」に掲載された研究を紹介しながら、災害時のマウスウォッシュの役割についてわかりやすく解説します。


災害が起こると、歯みがきが難しくなることがあります

普段は当たり前にできている歯みがきも、災害時には難しくなることがあります。

例えば、

  • 断水して水が十分に使えない
  • 避難所などで歯みがきをする場所が限られている
  • 歯ブラシや歯みがき剤を持ち出せなかった
  • 水を飲料や調理などに優先して使う必要がある
  • 避難生活によって生活リズムが変わる
  • 食事の回数や内容が普段と変わる

などです。

「歯みがきくらいなら、少しくらいしなくても大丈夫」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、災害が起こったときこそ、できる範囲でお口の中を清潔に保つことが大切です。


お口の中が不衛生になると、どんな問題がある?

私たちのお口の中には、健康な状態でもたくさんの細菌が存在しています。

普段は、歯みがきや唾液などによって、お口の中の環境が保たれています。

ところが、歯みがきが十分にできなくなると、歯垢がたまりやすくなり、お口の中の細菌も増えやすくなります。

その結果、

  • むし歯
  • 歯周病
  • 口臭
  • お口の中の不快感

などにつながることがあります。

さらに、災害時には食事や睡眠、ストレスなど、普段とは違う環境になるため、お口の健康にも影響が出やすくなります。

だからこそ、災害時にも**「できる範囲で口腔ケアを続ける」こと**が大切です。


災害時の洗口剤について調べた研究があります

ここで、今回のテーマである「災害時の洗口剤」について調べた研究をご紹介します。

増田葉月ほか
「高齢者における洗口剤含嗽の口腔内細菌への効果-被災した高齢者に対する保健指導への活用を目指して-」

という研究です。

2019年に「日本口腔保健学雑誌」に掲載されています。

この研究では、災害などによって歯ブラシによる口腔清掃が十分にできない状況を想定し、洗口剤を使用した場合のお口の中の細菌数の変化を調べています。


研究の対象は70~80代の高齢者15名

この研究の対象となったのは、70~80代の高齢者15名です。

薬効成分が配合された洗口剤と、薬効成分が配合されていない洗口剤を使用し、それぞれ使用前後のお口の中の細菌数を比較しました。

その結果、薬効成分が配合された洗口剤を使用した場合、使用前と比較して口腔内細菌数が統計学的に有意に減少したことが報告されています。

また、薬効成分が配合されていない洗口剤と比較して、薬効成分配合の洗口剤では抗菌作用が認められました。

このことから、研究では、災害後など歯ブラシによる口腔清掃が困難になった場合に、薬効成分を含む洗口剤を口腔ケアに活用できる可能性について考察しています。


この研究は「高齢者」が対象。でも、知っておきたいのはすべての世代

ここで、この研究について大切なことがあります。

今回ご紹介した研究の対象は、70~80代の高齢者です。

そのため、研究結果をそのまま「すべての年代に同じ効果がある」と考えることはできません。

一方で、研究が扱っているのは、歯ブラシによる口腔清掃が十分にできないとき、洗口剤を口腔ケアの一つとして活用できる可能性というテーマです。

災害によって歯みがきが十分にできなくなる可能性は、年齢に関係なく誰にでもあります。

子どもでも、大人でも、高齢の方でも、災害時には普段と同じように口腔ケアができなくなるかもしれません。

だからこそ、「災害時のお口のケア」という視点では、世代を問わず知っておきたい内容です。


マウスウォッシュだけで歯みがきの代わりになる?

では、

「災害時はマウスウォッシュがあれば、歯みがきはしなくてもいい?」

というと、そうではありません。

マウスウォッシュは、歯ブラシによる歯みがきの完全な代わりにはなりません。

歯ブラシは、歯の表面に付着した歯垢を物理的に取り除くことができます。

一方、洗口液はお口をすすぐためのもので、歯ブラシのように歯垢をこすり取ることはできません。

そのため、歯ブラシが使える状況であれば、歯ブラシによる歯みがきを基本にすることが大切です。

では、なぜ災害時に洗口液を備えておくのでしょうか。

それは、普段通りの歯みがきができないときの「選択肢」の一つになるからです。


災害時は「完璧な歯みがき」より、できるケアを続ける

災害時には、普段と同じように口腔ケアができないことがあります。

十分な水がない。

歯ブラシを洗うことができない。

避難生活で落ち着いて歯みがきする時間がない。

そんな状況も考えられます。

だからこそ、

「いつも通りにできないから何もしない」のではなく、「今できる方法でお口を清潔に保つ」

という考え方が大切です。

歯ブラシが使えるなら、歯ブラシを使う。

少ない水で歯みがきができるなら、水を節約しながら歯みがきをする。

それでも十分なケアが難しい場合には、洗口液などを活用する。

そのときの環境に合わせて、できるケアを続けていきましょう。


水が貴重な災害時だからこそ、口腔ケアを工夫する

災害時には、水はとても貴重です。

飲み水や調理、衛生管理など、さまざまな場面で水が必要になります。

そのため、歯みがきやうがいに十分な水を使えない場合も考えられます。

もちろん、飲料水などを優先する必要がありますが、だからといって口腔ケアを諦める必要はありません。

歯ブラシが使えるときには、少量の水を使って歯みがきをする。

歯みがき後のうがいに使う水を工夫する。

そして、状況に応じて洗口液を活用する。

こうした方法をあらかじめ知っておけば、災害時にも落ち着いて対応しやすくなります。

「水が十分にないときに、どうやってお口を清潔に保つか」

これを考えておくことも、お口の防災の一つです。


マウスウォッシュは「普段から使っておく」のがおすすめ

防災用品としてマウスウォッシュを準備するなら、災害時だけ特別に使うものを用意するより、普段から使い慣れているものを備えておくという方法もあります。

普段から使用していれば、

「この味なら使いやすい」

「刺激が強すぎない」

「この商品なら続けやすい」

など、自分に合うかどうかも分かります。

また、商品の使い方もあらかじめ確認できます。

防災用品は、いざというときに初めて使うよりも、普段使っているものを少し多めにストックしておくほうが使いやすいでしょう。


Reina歯科医院では「ハビットプロ」をおすすめしています

洗口液にはさまざまな種類があります。

Reina歯科医院では、普段の口腔ケアに使用する洗口液として、**歯科医院専売のハビットプロ(旧:モンダミン ハビットプロ)**をご案内しています。

当院でおすすめしている理由は、CPC、グリチルリチン酸ジカリウム、トラネキサム酸という3つの薬用成分が配合され、歯肉炎や歯ぐきからの出血、口臭など、毎日の口腔ケアを考えて作られている洗口液だからです。

また、ノンアルコールタイプで、毎日のケアに取り入れやすいこともおすすめしている理由の一つです。

災害時専用としておすすめしているわけではありません。

普段の口腔ケアに使っているものを、もしものときにも使えるように少し備えておく。

当院では、このような考え方で洗口液をご案内しています。

もちろん、すべての方に同じ洗口液が適しているわけではありません。

お口の状態や使用目的によって、必要なケアは異なります。

「洗口液を使った方がいい?」

「自分にはどんなものが合う?」

「歯みがきと一緒に使う場合はどうしたらいい?」

など、気になることがあれば、定期検診やクリーニングの際にお気軽にご相談ください。


家族みんなの防災バッグに「お口のケア用品」を

災害への備えというと、水や食料、懐中電灯、モバイルバッテリーなどが中心になりがちです。

そこに、ぜひお口のケア用品も加えてみてください。

例えば、

  • 歯ブラシ
  • 歯みがき剤
  • 洗口液
  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ
  • 入れ歯を使用している方は義歯ブラシ
  • 入れ歯ケース

などです。

すべてを特別な「防災用品」として購入する必要はありません。

普段使っているものを少し多めに準備しておく方法でも十分です。

特に家族で暮らしている場合は、**「自分の分だけでなく、家族の分もあるか」**を一度確認してみましょう。


防災は「災害が起こってから」ではなく、普段から

災害は、いつ起こるか分かりません。

いざというときに、

「歯ブラシがない」

「洗口液がない」

「入れ歯をどうしたらいいか分からない」

と慌てないためにも、普段から準備しておくことが大切です。

そして、もう一つ大切なのが、災害が起こる前にお口の状態を整えておくことです。

むし歯がある。

歯ぐきから出血する。

歯がグラグラしている。

入れ歯が合わない。

歯みがきがしにくい。

こうしたお口の問題をそのままにしておくと、災害時にはさらに困る可能性があります。

普段から定期検診を受け、お口の健康を維持しておくことも「お口の防災」の一つです。


まとめ|マウスウォッシュも「お口の防災」の一つに

災害時には、断水や避難生活などによって、普段通りの歯みがきができなくなることがあります。

そんなとき、洗口液は普段通りの口腔ケアができない場合の選択肢の一つになります。

今回ご紹介した増田葉月ほかの研究では、70~80代の高齢者15名を対象に、薬効成分が配合された洗口剤を使用したところ、使用前と比較して口腔内細菌数が有意に減少したことが報告されています。

ただし、この研究は高齢者を対象としたものであり、すべての年代で同じ結果が得られることを示したものではありません。

また、この研究から洗口剤によって誤嚥性肺炎を予防できると結論づけることもできません。

そして、マウスウォッシュは歯ブラシの完全な代わりになるものでもありません。

大切なのは、

歯ブラシが使えるときは、歯ブラシで歯みがきをする。

水が少ないときは、少ない水を工夫して使う。

普段通りの口腔ケアが難しいときには、洗口液なども活用する。

というように、そのときの環境に合わせて、できるケアを続けることです。

防災バッグを確認するときには、食料や水だけでなく、歯ブラシや洗口液などのお口のケア用品も一緒に確認してみてください。

家族みんなで「もしものときのお口のケア」を考えてみるのもおすすめです。

そして、普段からお口の健康を維持しておくことも、大切な防災対策の一つです。


Reina歯科医院】大阪市西区江戸堀 肥後橋・中之島・淀屋橋エリアの歯医者

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参考文献

増田葉月ほか.
「高齢者における洗口剤含嗽の口腔内細菌への効果-被災した高齢者に対する保健指導への活用を目指して-」
日本口腔保健学雑誌.2019;9(1):93-98.